産業能率大学 教員行動・学習行動・学修成果の可視化によるアクティブ・ラーニングの深化
テーマⅠ・Ⅱ複合型
事業期間:2014年度~2019年度
【取組の概要】
本取組は、教育支援センターの新設および学習支援センターの機能強化により、授業における教員と学生のパフォーマンス(学生の発言数、教員と学生の対話数、事前課題に対するフィードバック時間など)を測定したスタッツデータ、授業外学習時間などの学生の学習行動データ、および知識・技能・態度の3側面から把握した学修成果の分析に基づき、教育方法や授業外課題の質量などの改善を図り、深い学びと学修成果を伴った教育の実現に取り組むものである。事業実施にあたっては、本学通信教育部門の学修成果の評価方法や提携先である湘南ベルマーレのデータ測定・分析ノウハウなど、産業能率大学のすべてのリソース(ALL産能)を投入して成果を最大化し、大学教育における先導的事例を創出する。
【取組のポイント】
➢教育方法の改善
➢教育プログラムの改善
➢学習支援の強化
➢学修成果の多面的把握
➢高大接続の強化
➢事業成果の三方発信
【キーワード】
「授業内スタッツデータ」、「学修成果の可視化」、「リーディング量・ライティング量」、「授業外学習」、「高大接続」、「主体的学習者」
【人材育成目標】
本学の育成する人材像は、経営・マーケティングに関する知識とスキルを修得し、社会において活躍するビジネスパーソンを育成することを目的としている。社会人としての基本とビジネス実務の知識・スキルを身につけ、経営・マーケティングに関する知識とスキルを修得し、社会の変化に対応しうる問題解決能力、ビジネスセンス、実行力を養い、社会において活躍するビジネスパーソンを育成する。
【教育上の課題】
本補助事業終了後も本取組を継続・発展させていくため、2017年度に体制強化につながる2つの機関決定を行った。第一に、2018年度に教育支援センターに教育改革の専門人材として事業を発展的に実施していく役割を担う専任職員を配置し、第二に、同年度に本取組を推進するために設置したユニットの1つ(教学ユニット)の事業を発展的に継続するため、地域創生・産学連携研究所を創設する。地域創生・産学連携研究所は、大学の教職員のみならず、社会人教育部門のスタッフも参画し、ALL産能で、本学の特色であるPBL(Project
Based Learning)を主とした地域創生ならびに産官学金との連携を強化し、学外機関との相乗効果を創出する仕組みをつくることを目指す。これらの体制強化により、本事業の発展的推進および内製化を加速していく。
【これまでの取組、実績・成果】
<取組>
授業内スタッツデータの測定、分析、結果の活用という一連の事務フローを確立することができ、2017年度は、過去最多の測定科目数となる年間116科目の測定を無事完了した。授業内スタッツデータを分析して、学生から高い評価を得た特色ある授業を抽出し、FD研修会で授業研究を行った。撮影した授業風景を視聴しながら優れたアクティブ・ラーニング手法等について具体的に共有できたことは、学生の深い学びを伴う教育の実現を目指す組織風土の醸成に大きく寄与した。このような取組の結果、アクティブ・ラーニングのさらなる推進に成功し、AP採択前に比べて高次のPBL科目数も増加した。
授業外学習の詳細をシラバスに明記し、授業外学習の成績評価の割合を20%以上とするルールが定着した。さらに、学生の授業外の学習時間、リーディング量、ライティング量の調査方法を確立し、必修科目を中心に調査を安定的に実施できるようになった。本取組の結果、学生の間で授業外学習時間を含めて学習計画を立てることが一般化し、学生の授業外学習時間は飛躍的に伸び、授業内外の一体的な学習を通じた深い学びが促進された。
本補助事業で整備したラーニングコモンズの授業外学習スペースとしての認知が浸透し、多様な学習場面で活用されるようになり、学生の授業外の学びが促進された。学生が授業外で他の学生の学習を支援(ピア・サポート)する学生ボランティア「Shares(シェアーズ)」を組織し、学習支援センター主催の課外講座の開講など授業外学習支援を強化した。
技能・態度到達度調査(PROGテスト)の実施率が向上したことによりGPAおよび学習行動データ等と合わせた総合的な学習指導の質向上につながった。
高大接続の強化では 「主体的学習者育成プログラムの開発」を行い、のべ5校、543名を対象に試行を行った。実施前後で簡易テストを行い、学生の探究心や自己肯定感などのスコアに変化が見られることを確認した。
<実績・成果>
・授業内スタッツデータの測定、分析、結果の活用という一連の業務フローを確立
・学生の授業外の学習時間、リーディング量、ライティング量の調査方法を確立
・学習支援センターによる授業外学習の支援件数の増加
・学生一人一人に寄り添った指導が全学的に浸透
・主体的学習者育成プログラムの開発
【今後の取組の計画】
<取組の計画>
本取組は、これまでの第一次教育改革(2006年〜2009年度, 教育基盤の整備)、第二次教育改革(2010〜2013年度,
教育力強化のための組織基盤の整備)につづく、第三次教育改革(2014年度〜)を加速し、教員個人の教育力と組織的な教育力の統合的強化を図ることを目的とする。本取組を通じて、アクティブ・ラーニング等の教育方法の効果的活用や学生の学習支援などを通じて、いかに学生の学びの質を高めることができるか(ディープラーニング)、学びの成果を多面的に把握し、いかに教育方法等の改善を加速できるかにこだわって改革を進め、2020年の将来ビジョンとして掲げた「実践的なカリキュラムと学習者中心の教育内容が高い評価を得ていること」の実現を確実なものにする。
【本取組における成果と社会へのインパクト】
●授業内の教員および学生の行動データを記録した授業内スタッツデータの測定は他学でも実施可能である。
●授業内スタッツデータと,技能・態度到達度調査など学生の学修成果データを組み合わせて,授業改善を中心に教育力向上を図っていく試みは,多くの高校・大学から先駆的事例として興味・関心が集まっている。
●2017年度に「主体的学習者養成プログラム」を群馬県立桐生高校、 神奈川県川崎市立幸高校、沖縄県立八重山高校、逗子開成高校(神奈川)、沖縄県立開邦高校の5校で試行することで高校教員の意識改革に寄与することができた。
【本取組の質を保証する仕組み】
①授業内スタッツデータについて過去最多の測定科目数となる年間116科目の測定を無事完了した。測定結果に基づいて教員に
学部長がコンサルテーションを実施し教育改善を促している。また、データ分析の結果から特色ある授業を抽出し、FD研修会で授業研究を行った。
②学生の授業外の学習時間、リーディング量、ライティング量の調査方法を確立し、必修科目を中心に調査を安定的に実施できるようになった。本取組の結果、学生の間で授業外学習時間を含めて学習計画を立てることが一般化し、学生の授業外学習時間は飛躍的に伸び、授業内外の一体的な学習を通じた深い学びが促進された。
③本補助事業で整備したラーニングコモンズの授業外学習スペースとしての認知が浸透し、多様な学習場面で活用されるようになり、学生の授業外の学びが促進された。探究型学習スペースの整備も完了し、運用が開始されたことにより、教員の個別指導に対する意識が高まり、向学心の強い学生などに対する指導の充実が図られ、同スペースでの指導件数は目標を上回る264件/年にのぼった。
④「高大接続の強化」の取組に関連して、本取組の成果を高校に向けて発信・波及させることができた。「主体的学習者育成プログラムの開発」を完了し、のべ5校、543名を対象にプログラムを試行した。
⑤以上の指標をもとに第三者評価委員会・専門家委員会を年1回開催し、点検・評価を行い、次年度の改革案へとつなげている。
具体的な実施計画における指標 |
2014年度
(起点)
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2017年度
(実績)
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2019年度
(目標)
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ALを導入した授業科目数の割合 |
32.5% |
41.3% |
43.5% |
ALを受講する学生の割合 |
100% |
100% |
100% |
学生1人当たりAL科目受講数 |
6.0科目 |
7.2科目 |
10.6科目 |
ALを行う専任教員の割合 |
88.6% |
95.3% |
92.4% |
学生1人当たりのAL科目に関する授業外学修時間 |
4.1時間 |
9.1時間 |
12.0時間 |
退学率 |
2.7% |
3.2% |
2.3% |
プレースメントテストの実施率 |
100% |
100% |
100% |
授業満足度アンケートにおける授業満足率 |
45.7% |
45.8% |
52.0% |
学生の授業外学修時間 |
8.5時間 |
17.2時間 |
16.5時間 |
スタッツデータ分析結果に基づく専任教員に対するコンサルテーション実施の割合 |
0% |
81.8% |
79.7% |
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