大学教育再生プログラム(AP) テーマⅠⅡ複合型

各テーマ概要

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テーマⅠ「アクティブ・ラーニング」

テーマⅠ「アクティブ・ラーニング」では,学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法(アクティブ・ラーニング)を行うことにより,認知的,倫理的,社会的能力,教養,知識,経験を含めた汎用的能力の育成を図る取組が展開されています。本テーマは平成26(2014)年度に開始され,9件の取組が採択されています。

社会において求められる人材が高度化・多様化する中,大学は,教育内容を充実し,学生が徹底して学ぶことのできる環境を整備する必要があると,教育再生実行会議や中央教育審議会等で繰り返し提言されています。全国の大学・短期大学・高等専門学校においても社会から求められる人材を育成するための取組が精力的に実践されています。

そのような中,テーマⅠ「アクティブ・ラーニング」の採択校では,高大接続改革や大学教育の質保証の要請を踏まえつつ,個々の授業改善にとどまらない,アクティブ・ラーニングを基軸に据えた大学教育全体の改革に取り組んでいます。例えば,課題解決型授業(PBL)やフィールドワーク等を取り入れたプログラムを構築しているほか,学生の学修行動や学修成果を分析することにより,各プログラムがより効果的・効率的に実践されるよう,PDCAサイクルを展開しています。

テーマⅠ「アクティブ・ラーニング」の採択校すべてが参画するウェブサイト「アクティブ・ラーニング・オンライン(ALO)」では,アクティブ・ラーニングを取り入れた先進的な授業を動画で共有し,全国の高等教育機関に活用を呼び掛けるなど,本事業の成果を波及させることにも注力しています。

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テーマⅡ「学修成果の可視化」

テーマⅡ「学修成果の可視化」では,全学的な教学マネジメントの改善や,それを視野に入れた学部・学科等における教学マネジメントの改善を図るため,各種指標を用いて学修成果の可視化を行い,その結果を基に教育内容・方法等の改善を行う取組が展開されています。本テーマは平成26(2014)年度に開始され,8件の取組が採択されています。

今日の大学教育の改革においては,知識基盤社会の到来,労働市場や高等教育のグローバル化,雇用環境の変化などにより,国際的にも,学生が修得すべき学修成果を明確化することにより,「教員が何を教えるか」よりも「学生が何を身に付けたか」を重視することが求められています。またそのことにより,学内のみならず社会全体に向けた説明責任を果たしていくことが必要不可欠となっており,学修成果に基づく大学教育の質保証を今後強力に推進していかなければなりません。

そのような中,テーマⅡ採択校においては,具体的で測定可能な知識・能力の開発目標を設定し,学生の達成度を評価する仕組みを構築しています。具体的には,学修行動調査や汎用的能力測定テスト,ルーブリックを複合的に活用することにより,学生の学修成果を可視化し,教育改善に取り組んでいます。各種データは全学的な教学マネジメントを展開する際に利用され,学内の教職員の意識改革にも資するものとなるよう,工夫が重ねられています。

また,本テーマの全採択校が参画する「学修成果の可視化 在り方検討会議」を通じて,各校の取組の底上げを図りつつ,全国の大学と成果を共有していく取組を行っています。

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テーマⅠ・Ⅱ複合型

本AP事業には,テーマⅠ「アクティブ・ラーニング」とテーマⅡ「学修成果の可視化」の複合型テーマが設定されています。本テーマでは,学生の主体性を引き出す学び(課題解決型授業やグループワーク等の学生参加型授業)の導入と,そのことによる成果を可視化し,全学的な教育改革につなげていくことが志向されています。本テーマは平成26(2014)年度に開始され,21件の取組が採択されています。

予測困難な時代を生き抜く力を育成するためには,大学教育を,従来のような知識の伝達・注入を中心とした授業から,学生が主体性を持って多様な人々と協力して問題を発見し解を見いだしていくアクティブ・ラーニングに転換するとともに,大学教育において「教員が何を教えるか」よりも「学生が何を身に付けたか」を重視し,学生の学修成果の把握・評価を推進することが必要とされています。高大接続改革や大学教育の質保証の要請を踏まえながら,大学教育の質的転換を図らなければなりません。

そのような中,テーマⅠ・Ⅱ複合型の採択校においては,学生参加型授業科目を教育課程に適切に位置付けつつ,教育課程全体を体系化し,全体的な学修成果を測定できる体制整備を行い,PDCAサイクルを回すことにより,それらの実効性と有用性を検証する取組が展開されています。例えばIR(Institutional Research)や学修ポートフォリオの活用,教育・学修支援センターの設置など,最近注目されている手法等が全学的な教学マネジメントの中に位置付けられつつ効果的に運用されています。現在,大学教育に求められる2つの大きな改革の方向性を複合させた本テーマでは,まさに大学教育改革が総合的に行われています。

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テーマⅢ「入試改革・高大接続」

テーマⅢ「入試改革・高大接続」では,大学入学者選抜を,志願者の意欲・能力・適性を多面的・総合的に評価・判定するものに転換する取組や,高等学校関係者と大学関係者との間で互いの教育目標や教育内容,方法について相互理解を図ること等により,高等学校教育と大学教育の連携を強力に進める取組が展開されています。本テーマは平成26(2014)年度に開始され,「入試改革」で3件,「高大接続」で5件の取組が採択されています。

生産年齢人口の急減,労働生産性の低迷,グローバル化・多極化の荒波に挟まれた厳しい時代を迎え,急速に変化する社会に通用する力は,各学校段階において「生きる力」「確かな学力」を確実に育み,初等中等教育から高等教育まで一貫した形で,一人ひとりに育まれた力を更に発展・向上させることにより育成しなければならないという問題意識のもと,大学入学者選抜や高等学校教育との連携の在り方を変えていく「高大接続改革」が,現在我が国において推進されています。

そのような中,テーマⅢ採択校においては,受験生の資質・能力を多面的・総合的に評価・判定する大学入学者選抜のモデルを創出,実施する取組や,従来の高大連携の取組を発展させ,高等学校から大学への円滑な移行の観点から,接続を改善するため高校、大学の教員間のコミュニケーションを密に行い,高等学校までに培った「生きる力」「確かな学力」を,大学における学びに円滑に転換できるよう,早期に大学教育を体験させ,その結果を高等学校,大学の双方で適切に評価する取組が展開されています。

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テーマⅣ「長期学外学修プログラム(ギャップイヤー)」

テーマⅣ「長期学外学修プログラム(ギャップイヤー)」では,課題発見・探求能力,実行力等の「社会人基礎力」や「基礎的・汎用的能力」などの社会人として必要な能力を有する人材を育成するため,ギャップイヤー等を活用し,「何のために学ぶのか」という学びの動機付けに資するよう,入学直後等に1か月以上の長期の「学外学修プログラム」を開発・実施し,学生が主体的に学ぶことができる体制整備を行う取組が展開されています。本テーマは平成27(2015)年度に開始され,12件の取組が採択されています。

ここでいうギャップイヤーとは,入学前の他,在学中,就職前など多様な時期に,一定期間,留学やインターンシップ等の体験活動を行う仕組みを指します。諸外国で見られるこうした仕組みは,学生の就学後のモチベーション,企画力,忍耐力,適応能力,時間管理能力などの伸長に資するものとして注目されています。我が国においても,「大学教育の質的転換」をより加速するための仕掛けとして,その推進が日本再興戦略等で提言されているものです。

そうした背景から,テーマⅣ採択校においては,例えば4学期制に移行し,学生が他授業科目等への影響を回避して1か月以上の学外学修プログラムに参加できる体制を整えることで,学生は地域企業へのインターンシップや海外研修プログラムに参加し,外部社会の刺激を受けることで主体性を引き出し,その後の大学における学びを変容させることを志向する取組が展開されています。

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テーマⅤ「卒業時における質保証の取組の強化」

テーマⅤ「卒業時における質保証の取組の強化」では,3つのポリシー(卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー),教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー),入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー))に基づき,卒業段階でどれだけの力を身に付けたのかを客観的に評価する仕組みやその成果をより目に見える形で社会に提示するための効果的な手法等を開発するとともに,大学教育の質保証に資するため,学外の多様な人材との協働による助言・評価の仕組みを構築する取組が展開されています。本テーマは平成28(2016)年度に開始され,19件の取組が採択されています。

大学教育の質的転換に向け,各大学の教育理念を踏まえて3つのポリシーを策定し,それらに基づき,「自らの教育理念の実現に向け,どのような学生を受け入れ,求める能力をどのようなプログラムを通じて育成するか」という観点から,大学教育の「入り口」(入学者選抜)から「出口」(卒業認定・学位授与)までの教育の諸活動を一貫したものとして再構築し,その効果的な実施に努めることにより,学生に対する教育をより密度の濃い,充実したものにすることが期待されています。また同時に,3つのポリシーに基づく体系的で組織的な大学教育を,点検・評価を通じた不断の改善に取り組みつつ実施することにより,学生の学修成果を向上させ,学位授与にふさわしい人材を育成し,社会に送り出すことが求められています。

そうした背景から,テーマⅤ採択校においては,学生の就職先等の企業と連携し,卒業後の社会で求められる資質・能力の明確化を図るための徹底した調査を行い,卒業時に可視化する学修成果の各種指標を開発するなどの取組が展開されています。

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