三重県立看護大学 三重の保健医療を支える未来の看護職者育成プログラム
テーマ「高大接続」
事業期間:2014年度~2019年度
【取組の概要】
地域のニーズに応じた地域の保健医療を支える質の高い看護職者を育成するという公立大学としての本学の使命を果たすため、真に看護職をめざす人材を確保し、確実に地域で活躍する人材を育成する取組である。円滑な高大接続を実現するには、県教育委員会及び高校、保護者との連携が不可欠であるため、本人の志望や適性に沿った進路指導がなされ、真に看護職をめざす人材が入学できるよう協働する。さらに、学生の学修のモチベーション向上や地域のニーズを反映した人材育成のために県内医療機関等との連携を強化し、キャリア教育の範囲を卒業後のキャリア形成まで広げる。取組の成果は、FD・SD活動を通じて全教職員間で共有し、一貫した学修指導につなげ、さらなる教育の質向上に取り組む。
【取組のポイント】
➢高校生のための看護職キャリアデザイン講座の実施
➢高校生のためのオープンクラス(授業公開)の実施
➢三重の保健医療を支える未来の看護職者育成プログラム交流会の開催
➢入学準備教育の実施
➢県教育委員会及び県内高校との連携(高大接続)
➢県内医療機関等との連携(大社接続)
【キーワード】
「高大接続」、「キャリアデザイン」、「ミスマッチ・休退学の防止」、「入学準備教育」、「高大社接続」
【人材育成目標】
●看護職者として地域の保健医療を支える誇りをもった質の高い看護を提供できる人材
●高度な看護専門知識・技術に加え、社会の急速な変化に柔軟に対応できる判断力や応用力を備えた人材
●常に質の高い看護を提供できるよう、研究的態度を身に付けた人材
【教育上の課題】
入学者を着実に地域の保健医療を支える看護職者へと育成するには、入学前に適性を判断し、看護職者としての資質と明確な意志を有した人材の確保が必要である。本学でも、本人の意思ではない受験や適性への考慮を欠いた入学者が、入学後、自身の看護職者としての適性・将来に疑問を抱き、休退学するケースが少なからず見受けられる。このような、進路選択のミスマッチによる休退学や早期離職を防止するため、高校生が看護職への理解を深め、看護職を生涯の職業とする意志を固めたうえで看護の道を選択できるよう、看護職キャリアデザイン講座を中心とした取組を進めている。地域に貢献できる質の高い看護職者育成には、「高大接続」にとどまらず、将来の進路となる県内医療機関等とも連携した「高大社接続」の仕組みを構築する必要がある。
【これまでの取組、実績・成果】
<取組1>
「高校生のための看護職キャリアデザイン講座」及び「高校生のためのオープンクラス(授業公開)」
看護職キャリアデザイン講座では、大学教員が高校に出向いて講義する「出前授業」と看護職者による講義やキャリアデザインワークショップを行う「一日みかんだい生」を実施し、高校生に看護職について知る機会を提供している。高校生は、現役の看護職者やスタッフとして参加した学生をロールモデルとし、グループワークを通じて、自身の将来像や今やるべきことを具体的にイメージすることができる。
また、大学での看護の学びを知る機会として、「高校生のためのオープンクラス(授業公開)」を実施している。高校生は、学生の様子や高校と大学の学びのつながりや違いを感じることができる。
参加した高校生に、目標や将来像を明確にイメージさせることで、高校での学習に対するモチベーションを向上させるとともに、大学での学びへの準備を促し、入学後のミスマッチによる休退学防止を図っている。
<取組2>
高校等との連携
三重県教育委員会幹部との意見交換会及び県内高等学校との意見交換会を毎年度開催し、積極的な情報提供、情報共有を実施している。また、毎年度末には高大接続事業評価委員会を開催し、県内高校教員等外部委員から本取組に対する評価、今後の取組の展開について意見・提案を受けている。
その他、高校生の進路選択において大きな影響力を持つ保護者や高校教員に、看護職についての正しい理解・認識を持ってもらい、高校生の進路選択の適切なサポートの一助となるよう「保護者と高校教員のための看護職キャリアデザインサポート講座」を開催している。参加した保護者や高校教員にとって、子どもたちの人生や進路について、どのように関わり、サポートしていくかを改めて考える機会となっている。
<取組3>
「三重の保健医療を支える未来の看護職者育成プログラム交流会」及び「入学準備教育」
特別入試での入学予定者と保護者を対象に、入学までの過ごし方から大学生活、大学卒業後の進路までを見据えた交流会を実施し、県内の医療機関等の魅力を発信する機会を設けている。これにより、入学後の学修のモチベーションの向上と看護職者としての職業観形成につながっている。
また、入学予定者には、看護学の基盤となる「化学」、「生物」について、入学準備教育を実施し、入学後の円滑な学修開始を支援している。入学準備教育では、独自のテキストと動画配信教材を使用した自宅学習とスクーリングを行っている。
【今後の取組の計画】
本取組開始当初から継続的に実施している高大接続の取組については、PDCAサイクルが機能し、完成形に近づいている。これまでの取組で築き上げてきた高校等との関係をさらに深化させていくことが重要と考えている。具体的には、今後、本取組への参加を経た学生が、4年間本学で学び、社会に出ていくことになるので、大学での学修状況、卒業後の活躍状況、職場への定着状況等について、高校へフィードバックできる仕組みを検討していく。そのためには大社の連携を推進し、卒業生に対する評価を積極的に進めていく。これらの取組には、高・大・社の互いの連携、協働が不可欠であり、現在の取組をさらに深めていく必要がある。このことを通して、「高大社接続」を1つのパッケージ化した取組とし、その成果について分析、評価することで、本取組の質を保証していく。
【本取組における成果と社会へのインパクト】
●地域のニーズに応じた地域の保健医療を支える質の高い看護職者の育成
●進路選択時のミスマッチを防ぐさまざまな取組による休退学防止
●高大社接続の取組による県内高校、医療機関との連携
【本取組の質を保証する仕組み】
本取組の質保証については、様々な取組を経て入学した学生の状況を把握し、学生の成長を確認することが重要と考えている。現時点で、「一日みかんだい生」をはじめとした看護職キャリアデザイン講座の受講者に休退学者はいない。また、本取組への参加を経て、将来像を明確にした学生の入学者が年々増加することで、学内の他の学生にも良い影響を与えるという効果も期待でき、大学全体で学生の質向上につながっている。
今後は、学生の入学後の状況を把握することに加え、卒業後の追跡調査を実施し、大学での学びがどのように生かされているか等について、調査・分析することにより、教育の効果及び事業の成果を可視化し、教育改善に生かすことができる仕組みを構築する。
本取組の実施にあたっては、高大接続プロジェクトチームで検討課題や改善策について議論を行い、取組の実績や成果については、教授会等でも報告し、学内での情報共有を図っている。また、有効な評価を実施し、取組をさらに充実させていくために、外部評価機関として、「三重県立看護大学高大接続事業評価委員会」を設置し、県教育委員会や大学における高大接続の取組に詳しい有識者、県内高校教員を委員に迎え、毎年度末に評価を受けている。
具体的な実施計画における指標 |
2014年度
(起点)
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2017年度
(実績)
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2019年度
(目標)
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「1日みかんだい生」の参加者・参加校数 |
80名14校 |
85名23校 |
120名25校 |
「高校生キャリアデザイン」「1日みかんだい生」 受講者の入学者数 |
16名 |
33名 |
30名 |
入学前に「高校生キャリアデザイン」「1日みかんだい生」を 受講した学生の休退学者数 |
1名以下 |
0名 |
1名以下 |
高校生への大学レベルの講義等教育機会の提供回数、受講数 |
1回 |
43回 96名 |
16回 20名 |
高校関係者との意見交換の実施数 |
1回 |
2回 |
4回 |
高校教員及び保護者を対象とした 「看護職キャリアサポート講座」の開催数 |
0回 |
1回 |
4回 |
「三重の保健医療を支える未来の看護職者育成プログラム交流会」 参加医療機関数 |
6医療機関 |
16医療機関 |
12医療機関 |
推薦入試による入学者の県内就職率 |
80% |
88.9% |
100% |
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