大学教育再生プログラム(AP) テーマⅠⅡ複合型

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神戸大学 1・2年生対象の「神戸グローバルチャレンジプログラム」 ~国際的なフィールドにおける多種多様な学外学修~

テーマⅣ「長期学外学修プログラム(ギャップイヤー)」

事業期間:2015年度~2019年度

【取組の概要】

 「神戸グローバルチャレンジプログラム」(神戸GCP)は、1・2年生の1つのクォーターをギャップタームとして設定し、国際的なフィールドで学生が行う自主的な活動を、「グローバルチャレンジ実習」として単位授与する学外学修プログラムである。プログラム参加学生は、「課題発見・解決型グローバル人材」として本学の全学生が卒業時に身につけるべき3つの能力(「神戸スタンダード」)の必要性を体感し、学びとは何かを考え、学びの動機づけを得る。学生は異文化環境の下で自らの体験に基づき、課題発見・解決能力の必要性に気づくことができる。これらの気づきにより、学生は主体的な学修姿勢を身につけ、その後の海外留学等の国際的なフィールドでのさらなる活動にチャレンジすることが期待される。また、神戸GCPへの参加を通じて、本プログラムが独自に設定したチームワーク力、自己修正力、課題挑戦力を身につけることができる。

【取組のポイント】

➢「神戸スタンダード」(※1)を身につける。
➢国際的なフィールドでの学外学修による「学びの動機づけ」。
➢低年次で参加し、その後留学等にチャレンジする。
➢チームワーク力、自己修正力、課題挑戦力(※2)を身につける。
 ※1 本学生が卒業時に身につけるべき3つの能力:①複眼的に思考する能力、
    ②多様性と地球的課題を理解する能力、③協働して実践する能力
 ※2 本プログラム独自の指標
【キーワード】
「クォーター制」、「課題発見・解決能力」、「グローバルチャレンジ実習」

【人材育成目標】

 神戸大学は、1902年の建学以来、「学理と実際の調和」を理念とし、開放的で国際性に富む固有の文化の下、「真摯・自由・協同」の精神を発揮し、個性輝く人間性豊かな指導的人材の育成を使命としている。この目的を達成するために、教育においては、「人間性」「創造性」「国際性」「専門性」を学修目標に掲げ、教養教育と専門教育の有機的連携、学部と大学院との繋がりを強化することにより、先端研究の臨場感のなかで学生が創造性や主体性を深め、幅広い学識に基づく問題発見力、分析力、実践力を培うことを重視している。また、「経済社会を牽引するグローバル人材育成支援」事業の採択を契機に、グローバルな視点から諸問題の解決と同時に、さらに進んで課題発見に向けて主体的行動する「課題発見・解決型グローバル人材」の育成を目標に、教育改革を実施している。

【教育上の課題】

 本学では、国際文化学部(現:国際人間科学部)における協定校への派遣留学、経済学部の5年一貫国際教育プログラム(IFEEK)、経営学部のKIBERプログラムに代表されるように、主に各学部でグローバル人材育成のための留学を組み込んだ様々な取組が実施されてきた。「経済社会を牽引するグローバル人材育成支援」事業も、人文社会系学部による取組に留まり、プログラムに参加する学生数は限られていた。こうした取組を理系学部に波及するとともに、全学部生を対象とする海外派遣プログラムや多様な学外学修プログラムを展開する上で、学事暦の柔軟化も必要であった。

【これまでの取組、実績・成果】

<取組> 
 神戸GCPは、教育の国際通用性の強化、質向上を目指す本学の教育改革の中に位置づけられ、それを加速するものである。2016年度から実施された教育改革との関連では、大きく次の2点が挙げられる。第1に、2016年度から全学的にクォーター制を導入し、短期集中的な学修を可能にするとともに、学生がギャップタームを活用して、多様な学外学修活動へ参加することを可能とした。神戸GCPでは、1・2年生を対象として、フィールドワーク、サマースクール、インターシップ、ボランティア、学生企画による5類型の国際的なフィールドでの学外学修活動が実施されている。第2に、新しい教養教育として、本学の全学部生が卒業時に身につけるべき3つの能力を「神戸スタンダード」として定め、それを修得するために、これまでの教養科目を見直し、「基礎教養科目」「総合教養科目」、さらに高年次の学部生を対象とする「高度教養科目」を設け、4年間を通じて学ぶ教養教育のカリキュラムに再編した。また、神戸GCPの学修成果は、「総合教養科目」の「グローバルチャレンジ実習」として単位授与され、神戸スタンダードを身につける科目として体系的に位置づけられることとなった。
 2017年度には、11の海外での学外学修活動コースを実施し、98名の学生が本プログラムに参加した。開講コース・参加学生とも、文系・理系の双方にまたがっている。これまでの取組と成果を広く社会に発信するために、2018年11月3日、神戸グローバルチャレンジプログラムシンポジウムを開催した。
<実績・成果>
・クォーター制の導入による長期学外学修の体制整備
・「神戸スタンダード」の設定と教養教育の改革
・「総合教養科目」としての学修成果の単位授与
・学生自主企画型を含む、国際的なフィールドでの学外学修コース5類型
・本プログラム独自指標の設定とルーブリックによる測定・評価

【今後の取組の計画】

<取組の計画>
 本事業終了後も、1・2年生対象の神戸GCPを継続的に実施展開するとともに、本事業の実績と成果を踏まえ、「海外インターンシップ」を全学共通の科目として単位化することで、高年次の学生を対象としたプログラム等も拡充し、学外学修活動のさらなる全学展開を目指す。さらに、海外派遣プログラムを大学全体で推進する新たな体制を整備していく予定である。
 また、神戸GCPを含めた海外派遣プログラムを推進する上で不可欠な現地との連携については、本学の強みである欧州・アジア地域15ヵ国を拠点として、本学を修了した元留学生や現地駐在する卒業生から構成されている海外同窓会ネットワークとの連携強化を図り、全学の海外学修プログラムの運営を持続可能なものとしてさらなる充実を目指す。

【本取組における成果と社会へのインパクト】

●「課題発見・解決型グローバル人材」の社会への輩出
●初年次に主体的な学修姿勢を身につけた学生の育成と長期留学等の海外学修活動へのさらなるチャレンジ
●公開シンポジウムと学生発表によるプログラム・学修成果の発信
●海外同窓会ネットワークを活用した学修支援とキャリア形成
●海外からの注目:本プログラムへの調査訪問

【本取組の質を保証する仕組み】

 各コースの質保証のための組織体制として、本学の教学マネジメント全体を担う大学教育推進機構の下に「神戸グローバルチャレンジプログラム委員会」(神戸GCP委員会)を設置し、本事業の企画・立案、運営及び実施について全学的な意思決定を行うこととした。神戸GCP委員会は、質保証の点から、申請されたコースの審査・認定の他、プログラム全体に関する自己点検・評価も行っている。また、全学の教育評価・FDを担当する「全学評価・FD委員会」が本事業を点検して、評価・改善に関する助言を行うとともに、全学の教育を担う「大学教育推進委員会」が、事業全体を管理し、学内のPDCAサイクルを確立している。
 さらに、学外の有識者による本プログラムの点検・評価を行うために、国際交流の専門家、教育関係者等で構成される「神戸GCP外部評価委員会」を設置し、2017年2月に、プログラム参加学生をまじえて開催した。外部評価委員による今後の取組に対する助言を受け、ルーブリックの見直しを行うなど、外部評価の結果を次年度以降の本プログラムの改善へと繋げている。
 また、参加学生の学修成果の質保証として、次の2つの方法をとっている。第1に、全参加学生に共通のフォーマットで、事前学修時に「チャレンジシート」を、事後学修時に「リフレクションシート」を作成・提出させている。「チャレンジシート」は、参加目的を明確にするため、学外学修目標を記入させ、「リフレクションシート」では、その達成度や今後の学修について記述させる。第2に、本プログラムの参加学生が卒業するまでに身につけるべき独自指標、「チームワーク力」「自己修正力」「課題挑戦力」を設定し、ルーブリックにより測定・評価している。参加年度だけでなく、それ以降も毎年1回、卒業時まで経年変化を追跡し、分析することとした。さらに、外部評価委員会での助言により、ルーブリックの各水準の違いを分かりやすくするとともに、学生が高い水準を回答した場合には、そのことを示す具体的な内容を記述して、より客観的な測定と評価が可能となるよう改定した。
 なお、自己点検・評価、外部評価を含めた事業報告書は、本学AP事業ウェブサイト(http://www.iphe.kobe-u.ac.jp/kobe-gcp/)で公開し、広く社会へ発信している。 
具体的な実施計画における指標 2015年度
(起点)
2017年度
(実績)
2019年度
(目標)
長期学外学修プログラムに参加する学生の割合 0.85% 2.53%
学生の授業外学修時間 5.5時間※ 7.6時間 6.5時間
学生が企画する活動数 37件 108件 150件

  ※2013(H25)年調べ