長崎短期大学 短期大学における早期かつ長期学外学修プログラムの展開と効果
テーマⅣ「長期学外学修プログラム(ギャップイヤー)」
事業期間:2015年度~2019年度
【取組の概要】
本学の人材育成の目的は地域の職を支える人材を育成することである。学年暦をクォーター制にし、2年間の学びを8つのターム(準備・導入・実践・検証・定着・応用・発展・完成)にする。それに伴いそれぞれのタームに準ずる科目を配置する大幅なカリキュラム改革を行う。その中で学修効果を定着させるために、実践ターム(1年次の8月~11月)を重点的に、佐世保市と連携した「Awesome
Sasebo!
Project」を展開し、学生を地域に出し、地域と密着した課題解決型学外学修に取り組む。その体験学修を一過性のもので終わらせないために、それ以降のタームで学問的な定着を図る科目を配置する。学生自身が問題発見をし、学問的に解決していく力を身に付けさせる。その取組を実現させるために、学長のガバナンス機能を強化させ、全学体制でのカリキュラム改革を行う。それを支えるためにFD/SDを強化し、教職員の資質を向上させる。
【取組のポイント】
➢学事暦改革と教学改革
➢国内外における多様な長期学外学修プログラムの展開
➢幅広い多様なステークホルダーからの評価体制の確立
➢教職員の資質向上
【キーワード】
「カリキュラム改革」、「クォーター制度」、「地域密着型学修」
【人材育成目標】
本学では、教育基本法及び学校教育法の定めるところに従い、建学の精神に基づいて、専門の学芸を教授研究し、実際的な専門教育、職業教育並びに幅広い教養教育を授け、地域社会の発展に寄与する、豊かな人間性と品格、専門的知識や技能を備えた社会人を育成することを目的としている。
【教育上の課題】
本学の教育目的を達成するためには、地域の人材養成に対するニーズと入学者の学修レディネス(※)に柔軟に対応するPDCAサイクルに基づく教育改革が必要である。そのため、教育課程の見直し、各教科目の内容・方法の精査、および学生の学修・生活支援に関する体制や方法の改善、更には教員の教育力や職員の学生支援力向上のための研修・研究活動を推進する。
(※)学修の準備状態のことを表し、入学者の多様な知識・技能・思考力・判断力・表現力・主体性・多様性・協働性などがどれだけ備わっているかを意味する。
【これまでの取組、実績・成果】
<取組>
2017年度のギャップイヤーの期間に、3か月留学に12名(カナダ3・中国1・韓国8)、国内有給インターンシップに26名、サービスラーニングに7名が参加し、多くの地域活動やボランティア活動など学外学修プログラムに参加した。同時に、学外学修に関する全学科共通の科目として「社会人基礎入門A(地域と大学・ASP)」を開設し、全学的に学外学修活動の理解と推進を図っている。
また、本学が取り組む地域活動の理解を深めるための研修や、本事業採択時からの課題であるルーブリックの作成と活用について学内FD/SDを2回開催し、教職員の資質を着実に高めることができた。他機関主催のFD/SDにも参加し、着実に能力向上につなげることができた。
<実績・成果>
・クォーター制導入による検証とカリキュラム改革
・国内外における多様な長期学外学修プログラムの実施
・ギャップイヤー終了後のCASEC英語テストスコアの上昇、韓国語・中国語の検定合格率の向上
・プロジェクト実習先や外部評価員を含めた全学的な成果報告会の実施
【今後の取組の計画】
<取組の計画>
■教学改革 導入したクォーター制学事暦の見直しとそれに伴うカリキュラム改革を行い、2018年度より新しいカリキュラムをスタートし、事業最終年度である2019年度に新カリキュラムの完成年度を迎える。事業終了後も継続的に長期学外学修プログラムを継続するため、改革を継続する。
■学生の活動 この3年間で一定の活動のスタイルを確立してきた長期学外学修プログラムであるが、事業終了までに、どのプログラムを継続発展させるかを検討し、強化を目指す。
■学修成果の測定と分析 これまでの成果をふまえ、測定方法について、本学独自の方法を確立する。
■学外実習先・留学先との連携 長期学外学修を継続するため実習先や留学先について再整理し、並行して新たな実習先や留学先も開拓を進める。
■教職員の資質向上 これまでの取組で得られた実績をもとに、今後もFD/SD活動などを通して全学的な教育改善へ反映させていく。また、本事業採択後に開始した「授業のピアレビュー」などを通し、授業改善に取り組む優れた教員の授業実践については、積極的に共通理解をし、授業の改善に努め、資質の向上に努める。
■評価体制 学外のステークホルダーによる評価方法については、さらに充実を図る。学生からの直接的な聞き取りや保護者の声、そして入学予定者である高校生など、幅広い聴取に努め、PDCAサイクルを確立し社会に発信する場として、成果報告会を開催する。
【本取組における成果と社会へのインパクト】
●長期学外学修の早期導入で、学生に自ら学ぼうとする動機付けを与え、学修効果を高めることができ、大学での学びの充実が期待できる。
●有給インターンシップでの就労体験は学生の意識変化をもたらすだけでなく、資金調達による中長期の留学を促進した。このシステムは他の大学でも流用が可能である。
●企業や地域住民との新たな関わりは、教職員に意識改革をもたらす。
●長期学外学修プログラムにおいて、オンラインを使用した学生支援はリスク・マネジメントを行う上でより効果的であり、このシステムは他大学でも流用可能である。
【本取組の質を保証する仕組み】
本学の教育理念に基づく充実した教育課程を展開するために、一貫性を持った三つのポリシーの下、高等学校段階で培われた「学力の三要素」を更に発展・向上させるため、高大接続・初年次教育・教育課程の見直しを本事業に位置づけて取り組んだ。
高大接続については、高等学校への教員の派遣、高等学校教員との情報交換、学生による高等学校教育の振り返りに加え、2016年度以降は、高校生と本学学生の共同の学びの場の設定、学校見学会、入学者選抜方法の改善に取り組んでいる。
初年次教育については、大学教育への円滑な接続、地域を知る講座の開設に加え、入学前教育の充実・強化、地域について学ぶ機会の拡大に取り組んでいる。
教育課程の見直しについては、大幅なカリキュラム改革を行い学生の学修目標の達成度を判断するために、学科のディプロマ・ポリシーに基づくルーブリック、各学科のカリキュラム・マップ、各科目のルーブリックを作成した。その中で、ディプロマ・ポリシーに沿った教育課程の中で個々の授業科目は育成能力のどの部分を担うかを担当教員が認識し、他の授業科目と連携、関連組織的な教育を展開している。
全学的な「三つのポリシー」の見直しを行い、どのような人材を輩出するのかを共通理解し、連携して改革に取り組む組織体制を強化した。そして、教育成果を実証的に検証し、常に改善につなげることの重要性も確認することができ、教育の質保証につながった。加えて、地域の視点を取り入れた教育の質保証の仕組みについて、ギャップタームにおける中長期の学外学修の取組を中核に、学生がこれまでの受け身の学修から主体的に学修する仕組みを作り上げる一連の教育体制を確立した。教学改革の達成度を専門的視点から助言、評価してもらうために「Awesome
Sasebo! Project推進委員会」「評価委員会」を設立して、短期大学における教育の質を保証するための検証を行い教育改革を行っている。また、学生の指導に当たる教職員の地域連携能力をさらに向上させるために多様な国内外の研修やFD/SDの機会を設けている。
具体的な実施計画における指標 |
2015年度
(起点)
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2017年度
(実績)
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2019年度
(目標)
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長期学外学修プログラムに参加する学生の割合 |
27% |
69% |
90% |
退学率 |
4.6% |
2.4% |
3.0% |
進路決定の割合 |
95.3% |
99.6% |
100.0% |
学生が企画する活動数 |
12件 |
18件 |
18件 |
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